第3回 クリエイターが気をつけたい契約書の注意点


著作権最前線 ~クリエイターが知っておきたい“それなり”の話

第3回 クリエイターが気をつけたい
契約書の注意点

講師:那住史郎 (これまでの記事)

 11月16日、名古屋・ポートメッセ名古屋で開催されたクリエイターズマーケットにおいて、第9回ポストカードコンテスト本選が行われました。そのブースにおいて、今回、特別企画ということで「作家なら知っておきたい著作権セミナー」というミニセミナーを行わせていただきました。

 当日、残念ながらお越しいただけなかった皆さんへ、今回から数回にわたり、セミナーでお話した内容を、簡単にですがご紹介したいと思います。と、いうわけで今回は「契約書の注意点」についてです。

まずは突然ですがクイズです。
 Q 契約は「契約書」を締結しない限り成立しない ○ or ×
 答は(最下部赤字)

そうです。契約は契約書が無くても成立してしまうのです! ちょっと難しい言葉で言うと「契約」とは、「<申込>と<承諾>。二つの意思表示の合致によって成立する法律行為」ということになります。簡単に言うとAさんが「お願いね」<申込>と言って、Bさんが「いいですよ」<承諾>と言えば成立してしまいます。

 ではなぜ「契約書」という紙を作るのでしょうか。

 もしBさんが「あれ、おいら“いいですよ”なんて言ったけ?」と言ったらどうしましょう。Bさんが「いいです」といった証拠はどこにもありません。そうです「約束した」ことをきっちりと証拠に残すために契約書という「紙」が必要になってきます。特に日本では契約書の最後に、「署名」つまり名前を書いて、「捺印」つまり判子を押すということを行います。紙に約束事が書いてあっただけでは、誰が約束したのかわかりません。この「署名」と「捺印」が、紙に書いた約束事を、それぞれAさん、Bさんがきちんと約束しましたという、証拠の性質をより強くしているのです。

 例えばクリエイターのAさんが素敵なイラストを書いたとします。そのイラストをB社さんがポストカードにしてくれるという約束をしました。

 わーい、ポストカードになって良かったな~……でしょうか? Aさんはイラストをポストカードに使うことをOKしたつもりだったとしましょう。そのイラストが大変評判だったので、B社さんはポスターにもしました、イラスト集も作ってしまいました、挙句の果てにはB社の社長のCさんは、このイラストを自分が書いたなどと言っています。ふと気がつけば……イラストの使用料も入ってきません……

 Aさんにはイラストの著作権があります。そこで著作権を主張して「勝手に使うな~」「金払え~」と言ってみても、B社、Cさんが知らぬ存ぜぬであれば、最終的な解決方法は裁判しかありません。

 とまぁ、ここで取り上げた例は極端な例かもしれませんが、口約束だけでは、何か起きたとき大変です。みなさんの大切な「著作権」について、「何か」を起こさないために、紛争を予防するためにも、「きちんとした」契約書を結ぶ必要があるのです。

 ここ重要です! 「きちんとした」契約書です。

 クリエイターの皆さんが何かお仕事をする時、制作会社から、出版社から「とりあえず契約書結んでおきましょうか~」ということで、なんぞ紙を渡されて、ポンと判子を押してしまう……そんな経験をしたことはないでしょうか?

「とりあえず」作っておこうということで、内容を良く見ず判子を押してしまった場合、そこに思わぬ落とし穴が待っていることがあります……

 次回は具体的な注意点を考えていきたいと思います。

★ 本日の結論→「約束をしたら“きちんとした”契約書を作ろう」

答え「×」

行政書士 那住史郎

<ブログのプロフィール>
那住史郎(なずみ・しろう) 行政書士。神奈川県行政書士会所属、那住行政書士事務所代表。法政大学文学部日本文学科卒業。2002年より民間著作権エージェントにおいて著作権業務、作家・クリエイターの支援業務に携わる。現在は、著作権関連の業務を中心に、作家・クリエイターの創作活動を法務的側面から支援する「作家の法務パートナー」として活動している。
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