第6回 クリエイターが気をつけたい、著作権法上の注意点③


著作権最前線 ~クリエイターが知っておきたい“それなり”の話

第6回 クリエイターが気をつけたい、
著作権法上の注意点②

講師:那住史郎 (これまでの記事)

 昨年11月、ラフストーンさんと共に、名古屋で開催された「クリエイターズマーケット」に伺わせていただきました。以前、東京で開催されている「デザインフェスタ」や、東京国際ブックフェアと同時開催される「クリエイターEXPO」というイベントは、見学させていただいたことがあるのですが、東京以外の都市で開催されるアートイベントを見学させていただいたのは、初めての経験でした。

 これらのイベントを見て改めて思うことは、わが国の「アート」に対する裾野の広さです。東京以外の都市でも、様々なアートイベントが行われており、出展されているクリエイターごとに多種多様な表現で「アート」が展示されています。そして多くのクリエイターがアートを日常に溶け込まそうと様々な提案をしています。

 さて、今日の本題です。クリエイターが産み出す多種多様な「アート」。これらの「クリエイターが創作するアート作品」は全て「著作権」で守られるのでしょうか。

 まず「著作権」が認められるためには、「著作物」でなくてはなりません。本連載の第1回にも書きましたが、著作権法では著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(第2条1項1号)と記されています。

 例えば小説や絵画、写真が「著作物」であることは間違いがありません。これらはレベルの高い低い、価値の高い低いに関係なく、例えば小学生が書いた絵であっても「著作物」となります。

 クリエイターの方々は、皆さんそれぞれの感性で、「アート」を定義し作品を産み出されています。特にアートイベントなどを見学していますと、こんな表現方法もあるのかと驚かされるものが数多くあります。著作権法上で特に議論となるのは「応用美術」と呼ばれるものです。簡単に言いますと「実用品として使われる美術作品」であるとか、「実用品の中で用いられる美術作品」というものになります。前者の例としては「素晴らしい独創的なデザインのカップ」ですとか、後者の例としては「素敵な彫刻が彫られたタンス」などです。

こうしたデザインを保護するには別に「意匠権」という権利が定められています。しかし「意匠権」は登録をしなくては認められない権利ですし、権利の期間も登録から20年と短いものになっています。
「意匠権」の対象になるからと言って必ずしも「著作権」で保護される対象から外れるかといえば、そうではなく、裁判で争われた例を見ますと、「意匠権」の保護対象となる作品であっても、「著作権」の保護対象にもなるとされた判決があります。

一方で「ウーロン茶のパッケージデザイン」や「着物の帯のデザイン」などで、著作権の保護対象とならないとされたものもあります。
著作権で保護されるから大丈夫と思っていたアートが、いざ争いになった時、実は保護されなかった、そんなことになってしまっては大変です。

★ 本日の結論→「作品をどうすれば守れるか、様々な視点を持とう」

行政書士 那住史郎

<ブログのプロフィール>
那住史郎(なずみ・しろう) 行政書士。神奈川県行政書士会所属、那住行政書士事務所代表。法政大学文学部日本文学科卒業。2002年より民間著作権エージェントにおいて著作権業務、作家・クリエイターの支援業務に携わる。現在は、著作権関連の業務を中心に、作家・クリエイターの創作活動を法務的側面から支援する「作家の法務パートナー」として活動している。
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