著作権最前線 ~クリエイターが知っておきたい“それなり”の話

 第1回 はじめまして

講師:那住史郎 (これまでの記事)

 はじめまして! 行政書士の那住史郎です。横浜で那住行政書士事務所→ http://nazumi-office.com/ という、小さな事務所を営んでおります。今年8月に立ち上げたばかりですが、「著作権」については、かれこれ10年以上にわたり、文藝作家やイラストレーター、写真家の権利を守る活動に携わって参りました。

 さて、ご縁ありまして今回より、この場所においてクリエイターの方向けに「著作権」に関する情報をお届けするブログをスタートさせていただくことになりました。著作権に関する「最新の」情報をお届けすると共に、クリエイターの皆さんに知っておいて頂きたい「それなり」の著作権に関する知識をお伝えしていきます。

 えっ「それなり」? そうです「それなり」でいいのです。
 まずはあえて言いましょう!

 著作権について完璧に学ぼう! と、いうことはクリエイターの方には必要ない! ……と。

そもそも「著作権」ってなんでしょう? 著作権は皆さんが創る「著作物」を保護するものです。
では「著作物」ってなんでしょう? 著作権法には「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号)と定義されています。
では「思想又は感情」って? 「創作的」って? えっ「文芸、学術、美術又は音楽」でないものは著作物じゃないの?

そうなのです。突き詰めていけば行くほど、ややこしく難しいそれが「著作権」なのです。そしてせっかく勉強して、覚えたとしても「しょっちゅう変わる」のが著作権なのです。
えっ「著作権」って変わるの? はい。著作権を保護するための「著作権法」は2~3年に1回は部分的に改正が繰り返されています。今年の国会でも部分的な改正があり、一部は来年1月1日から、改正によってルールが変わるものがあります。

だから覚えようと思っても、勉強しようと思ってもきりがない。しかし、クリエイターの方にも「それなり」には知っておいていただきたいのです。なぜか?

 そもそも皆さんが精魂込めて制作された作品。その作品を「まもる」ための権利が、「著作権」だからです。皆さんの作品を、誰かに使ってもらう時、売買する時、「著作権」があるからこそ皆さんに対価が入ってきます。だからあまりよくわからず、契約書に判子を押してしまうと、思わぬ損をしてしまうことがあります。
 誰かが勝手に皆さんの作品を使用した時、「著作権」があるからこそ「勝手に使うな」という言うこと出来ます。逆に、皆さんがあまりよくわからず、誰かの作品の影響を受けて作品を制作した場合、場合によっては著作権侵害に問われる危険性もあります。

 と、いうわけでこれからこのブログでは、「それなり」の話をお届けしてまいります。どうぞよろしく。

★ 本日の結論→
「皆さんが精魂込めて制作された作品。その作品を“保護”するための権利が“著作権”」

行政書士 那住史郎

<ブログのプロフィール>
那住史郎(なずみ・しろう) 行政書士。神奈川県行政書士会所属、那住行政書士事務所代表。法政大学文学部日本文学科卒業。2002年より民間著作権エージェントにおいて著作権業務、作家・クリエイターの支援業務に携わる。現在は、著作権関連の業務を中心に、作家・クリエイターの創作活動を法務的側面から支援する「作家の法務パートナー」として活動している。
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